
「経済学者ピケティが提唱する持続可能な豊かな社会を実現するには?』
この回の書き起こし
今回はですね経済学者トマ・ピケティが描く繁栄する社会のビジョンと脳科学者の岩崎一郎さんが提唱する脳磨きというコンセプトこの2つマクロな視点とミクロな視点をつなぎ合わせて私たちがもっと豊かにそして共に生きていくための道筋を探っていきますピケティが投げかける問いがすごく刺激的なんですよね私たちが成功を図る物差しそのものがも
う時代遅れなんじゃないかと特に国の豊かさを比べるのによく使われる一人当たりGDPこれには深刻な欠陥があるとそうなんです彼は少なくとも3つの重大な間違いを指摘していますまず1つ目単純に為替レートでドルとユーロを換算して比べるとアメリカの高い物価が考慮されないんですねその結果アメリカの豊かさがヨーロッパに比べて約40%も課
題評価されてしまうと分析していますアメリカはランチが高いなって感じるあの感覚が実は経済指標の大きな歪みを表しているっていうことですかまさしくその感覚ですそして2つ目の間違いが労働時間の差が考慮されていないこと面白いのは1時間働いてどれだけの価値を生み出すかっていう時間あたりの生産性で見ると実は北欧諸国はアメリカを上回っ
ているんですよ生産性が高いからこそ短く働いて豊かに暮らせるっていうそういう好循環が生まれてるわけですねそういうことですでもピケティはさらに根本的な欠陥があると言っている一体何がGDPという物差しの一番の問題点だと彼は考えているんでしょうかはいそれが3つ目の社会的環境的指標の完全な欠如です社会的環境的例えば平均寿命の長さ
これは医療とか福祉の充実度を示す重要な指標ですよねあるいは二酸化炭素の排出量これは社会の持続可能性に関わりますこうした真の豊かさを構成するはずの要素がGDPからは完全に抜け落ちてしまっているピケティはもしCO2排出がもたらす社会的なコストを差し入れ計算するとアメリカのGDPはヨーロッパに比べて大きく落ち込むだろうとまで
言っています言われてみれば当たり前のことなのにつまりピケティが訴えているのは経済成長の数字だけを追いかけるゲームから降りてもっと公正で持続可能な社会全体のウェルビーングへと価値観のOSをアップデートする必要があるそういうことですねおっしゃる通りですただそのピケティの言う社会全体のウェルビーングという理想は非常にパワフル
ですけど同時に大きな疑問も浮くんですよねと言いますとこれだけ個人主義が進んだ現代でどうすれば人々は自然と協力して社会全体に貢献するようなマインドセットを持てるようになるんだろうと制度だけ変えても人の心がついてこなければ絵に描いた餅になってしまう気がしてここに脳科学からのアプローチが生きてくるということなんですねまさにそ
こが今回の革新です岩崎一郎さんが提唱する脳磨きはその問いに対する一つの具体的な答えを示してくれます脳磨き脳全体をバランスよく使えるようにするためのトレーニングです私たちの脳の使い方を大きく2つのパターンに分けて考えます1つが個分離思考という使い方自分と他者を切り離して考えて自己利益の追求に偏ったり問題が起きた時に自分は
悪くない悪いのは周りだと考える多責に陥りやすかったりするそういう脳の使い方ですその個分離思考すごくよくわかります例えば締め切りに追われている時なんかは私も完全に周りが見えなくなって自分のタスクが全てみたいになりがちであれが脳の使い方の癖だったんですね多くの方が特にストレス下ではそうなってしまいますねそしてもう一つが共同
体思考という使い方です共同体思考こちらは自分は家族とか組織社会といったより大きな共同体の一部であると自然に捉えることができる脳の使い方ですこの状態だと他者への共感とか見返りを求めないいたの精神が働きやすくなって協力関係を築くことが得意になりますなるほどピケティが描く人々が支え合う社会はまさにこの共同体思考が土台となって
初めて現実のものとなるんですなるほどじゃあ脳磨きっていうのは無意識に陥りがちなその個分離思考というOSからより豊かな関係性を築ける共同体思考というOSへと意識的に切り替えていくためのすごく実践的なアプローチだということですねその通りですその脳の使い方を切り替えるというのは本当に興味深いですね一人一人が脳磨きを実践して自
分と他者を隔てない共同体思考を持つ人が増えていくと社会全体にはどのような変化が生まれるんでしょうかそこで発揮されるのが集合知性という力なんです集合知性はい個々人が共同体思考に基づいてそれぞれのユニークな才能とか情熱をより良い社会を作るといった大きな目的のために用いるそうすることで足し算じゃなくて掛け算のように一人では到
底成し得ないとてつもなく大きな価値を創造できるようになるのですその集合知性がものすごくダイナミックに機能している状態何か別のメタファーで表現するとどうなりますか活気あふれる巨大な市場を創造してみてくださいそこにはスパイスを売る人絨毯を織る人美しいランプを作る職人物語を語る人無数の人々がいますそれぞれが自分の技術と情熱を
追求しているだけなんですその無数の個性が集まることで全体として豊かで活気があって美しい文化と経済の生態系が自己組織的に生まれている確かに新しい商品が生まれ情報が交換され常に変化し続けている集合知性が花開いた社会とはまさにこのような躍動する生命の共同体なんです素晴らしいイメージですね活気があって生命力に満ちているただ一方
で少し思うのは市場では競争もありますよねこの共同体思考が利益を追求するビジネスの世界とかで本当に機能するんでしょうかちょっと理想論に聞こえてしまう人もいるかもしれません非常に重要な指摘です確かに競争は存在します競争の質が変わるということなんです質が変わる個分離思考に基づく競争が相手を打ち勝つゼロサムゲームだとすれば共同
体思考に基づく競争は互いに切磋琢磨して市場全体をより魅力的にしていくプラッサムゲームに変わるんです自分と違う技術を持つ職人はもはや排除すべき脅威じゃないむしろその人の存在が市場全体の魅力を高めて結果的に自分のお店にも新しいお客さんを呼び込んでくれる多様性として尊重されるなるほどこれこそピケティが目指す人々が互いを尊重し
合い持続的に繁栄し続ける社会の姿ではないでしょうかいやーピケティが語るマクロな社会経済モデルの話から始まってそれが私た
音声をもとに書き起こしています。